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904nmレーザによるアルツハイマー型 痴呆症患者の治療効果 神奈川鍼灸マッサージ協会副会長 前場 和吉 J LPLTPA 事務局長 名誉教授 井上 正之 |
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(はじめに) 平成5年より3回にわたり、日本レーザー医学会において「低出カレーザーの老人性痴呆症に対する有効性の検討」として報告させていただいたが、介護保険制度ができてから、アルツハイマー病, パーキンソン病, 痴呆症等につき在宅介護に際し、問題の多い病状として多く聞かれるようになったので、その後の低出力レーザー治療の治療経過について報告したい。 最近は、超高齢化杜会となりアルツハイマー型の病症率も高くなっているが、いまだに、その原因は、不明な点が多く、治療方法についても、各種試みられているが、確立されてはいない。一方、低出力レーザーについては、最近の細胞レベルの研究により、生体に対する機序もほぼ、解明されており、疼痛緩解、浮腫の軽減、傷創治癒などに幅広く使われているが、脳疾患に対する治療応用は未だ極めて少ないのが現状である。我々は平成3年以来、低出力レーザー療法が、老人性痴呆症の有効な治療手技の一つとして成り得ると考えるものと信じ継続して治療に使用して来た。 低出力レーザー治療は、副作用が全く無いので、安心して患者の頭部に照射できる。在宅の老人性痴呆症の治療は、ADLの拡大、疾痛軽減、浮腫の軽減、じょくそうの治療、予防、脳血管障害における、脳障害の拡大防止、片麻庫の治療、初期アルツハイマー病患者の進行阻害に効果が期待できるので、これからの在宅における老人性痴呆症の治療法の有効な手段になりえるものと思われる。 (日的) (方法ポイント) 具体的には次の照射ポイントである。 (照射方法) (レーザー治療器) LTU-904H:
Australia、 RianCorp Pty Ltd 製. (評価方法) まったく変化なきものを、O点とし、見当識、会話能力、協調性、落ち着きのなさ、仕会的役割、活動の是非、着衣と服装、余暇の活動について、効果ありを2点、やや効果ありを1点として合計したものを評価とした。 〔結果〕 評価項目の中では、協調性、落ち着きの無さの改善が効果として注目され、半年以後からその効果は、現われ、1年以後も継続していることが確認された。失見当識障害、着衣と服装につても、有用性があることが示唆されている。なぜならば、家族、介護者からは、悪化せずに現状を維持できているので、介護する上で大変助かるとのお話を数多くいただいている。レーザー照射をおこなってからは、体調が急に変化することもなく、手、足の冷たさもなくなり、関節や筋肉こわばりも軽減しているようだとのことであった。そのため、関節可動域も比較的確保されていることが認められる。排泄介助においても、そのために介助がしやすいとのことであった。会話能カと祉会的役割、活動、余暇の活動については、あまり変化が認められなかった。全患者にいえることは、表情が穏やかになり、介護者の指示に対して理解を示すようになったことである。このことにより、在宅における、介護力維持向上のひとつの有効な治療として示唆されるものではなかろうか。 (考察) アルツハイマー型痴呆症は、症状の進行性が特徴といえ、症状は徐々に重篤化していくといわれるので、この療法が症状の維持、遅延効果があるのではないかと考え検討を行った。少なくともある面においては、現状維持の効果があることが示唆されたものと思われる。
低出力レーザー照射の脳に対する効果については、平成5年の日本レーザー医学会において、横浜私立大学第2生理学教室西村等が、ラットの内側中核核への波長780 nm、1mW しかし、最近、立命館大学、放射光生命科学センター小田―望月等が、ラットを使用した分子、細胞レベルの研究により、波長830nm低出力レーザー光のラットの頭部表面からの照射により、ATPと細胞膜電位が特異的に制御される事を確認し、脳のエネルギ代謝と電気活動を非侵襲的に制御できる可能性を示唆している。われわれの老人性痴呆症脳血管障害、片マヒ、パーキンソン患者等の症状改善の治療経験結果を科学的に裏付けるものとして、今後の研究の進展に注目している。 平成5年から3年間にわたってわれわれが日本レーザー医学会で発表した「低出カレーザーの老人性痴呆症に対する有効性の検討」に使用したレーザー治療器の波長、出力は780nm、10mW、1mwであったが、今回の検討に使用したレーザー治療器は、波長904nm、パルス出力のピーク値5W、平均値5mWであった。しかし、同じような治療効果が確認された。低出力レーザーのアルツハイマー病に対する治療効果については、レーザーの波長依存性は無いように思われるが、果たしてどうなのであろうか。疑問が残る。 今回の検討により、少なくとも、低出力レーザーの頭部ツボ照射によりアルツハイマー病の進行状況が改善され、まったく治療していないときより、表情が無欲性からニコニコするようになり、協調性が出て、相手に理解を示すようになり、介護しやすくなったというコメントを数多くの家族から話して戴いた。動物実験が証明しているように、近赤外レーザー光の頭部照射は、脳内の血流を改善させ、神経活動を活性化することで、脳細胞のアポトーシスの進行にブレーキをかけているものと考えられる。中度、重度のアルツハイマー患者にたいしては、あまり治療効果が認められないので、現在の方法ではアルツハイマー病の根本治療法とは言いがたいが、初期に治療を開始し、継続すれば、その後の進行を食い止める事が可能な実用的な治療法というべきである。 今後は、この経験と最新の分子、生物学分野での研究結果、海外情報を踏まえ、レーザーの波長、出力、照射方法、その他の療法との組み合わせに検討を加え、アルツハイマーの症状が劇的に改善する治療法を探索したいと考えている。 |